多くの女性が悩んでいる尿漏れ。
男性と比べて、女性は骨盤の形や出産などの経験から、悩んでいる方が多いようです。
人にはあまり言いづらい悩みのため、諦めてしまう方もいるようですが、改善や治療ができることも多いんですよ。
尿漏れは医学用語で「尿失禁」と言い、その尿失禁の原因によって種類を分けると、4種類存在すると言われています。
種類によって改善方法や治療法も違うので、自分で症状について知っておくと安心ですよ。
今回は4つの症状別に尿失禁の症状や原因、改善方法をご紹介します。
女性を悩ませる尿失禁は症状別に4種類ある
尿失禁を症状別に大きく分けると、次の4種類に分けられます。
- 腹圧性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
- 機能性尿失禁
種類は4種類ですが、①の腹圧性尿失禁と②の切迫性尿失禁の2種類の症状両方が出る場合もあるようです。
それを”混合性尿失禁”と言います。
これらの尿失禁は同じ尿失禁と言っても、症状や原因が異なります。
それぞれの症状や原因について詳しく見ていきましょう。
尿失禁の種類①腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁の症状
尿失禁の中でも一番ケースが多いと言われているのが腹圧性尿失禁です。
腹圧性尿失禁は、腹圧がかかった際に尿が漏れ出てしまう症状があります。
- 大笑いしたとき
- ジャンプしたとき
- 咳やくしゃみをしたとき
このような、ふとした瞬間に起こるため、日常生活で不便に感じることも多い尿失禁です。
35歳以上の女性や経産婦に多く出てくるといわれる症状ですが、中には20代の若い女性や未妊婦の女性にも腹圧性尿失禁の症状がみられることがあります。
腹圧性尿失禁の原因
腹圧性尿失禁の原因は骨盤底筋の機能低下が大きく影響しています。
骨盤底筋とは、骨盤の下にあるインナーマッスルのこと。
膀胱や子宮などをハンモックのように吊り上げて支えている筋肉です。
排泄のコントロールの役割も果たしていますが、機能が低下すると、尿を出すときに緩めたり締めたりする動作が鈍くなってしまいます。
そんな骨盤底筋の機能が低下する要因には次のようなものがあります。
- 妊娠出産
- 運動不足
- 加齢による筋力低下
- 腹圧
妊娠で大きくなった子宮を支えたり、出産時に赤ちゃんが膣を通ったりすることで、骨盤底筋が伸びてしまうことがあります。
また、運動不足や加齢などにより、だんだん骨盤底筋の筋力が低下するケースも。
その他、重たいものを持ち上げたり、トイレでいきんだりして腹圧がかかることで、骨盤底筋が弱ることもあるようです。
このようなことで骨盤底筋は緩んで機能が低下しやすいのですが、緩んでも痛みなどがあるわけではないので、気付きにくいのが難点ですね。
腹圧性尿失禁の改善方法
腹圧性尿失禁の改善方法は、筋力の低下した骨盤底筋を鍛えることです。
骨盤底筋は、お尻や股周辺にキュッと力を入れると動かせます。
意識して締めたり緩めたりして鍛えてあげましょう。
腹圧性尿失禁を改善する骨盤底筋トレーニング
- 立ったままでも、座ったままでもいいので、骨盤底筋に意識を集め、力を入れて締める
(意識しづらい方は尿失禁を我慢するように、きゅっとお尻や股辺りに力を入れましょう) - できる限り締めた状態を維持する
- 息を吐きながら、ゆっくり骨盤底筋を緩める
毎日1分間でも良いので、無理なく骨盤底筋トレーニングを続けて、腹圧性尿失禁の改善を目指しましょう。
尿失禁の種類②切迫性尿失禁
切迫性尿失禁の症状
切迫性尿失禁の症状は、強い尿意が急にくるのが特徴です。
自分では排尿をコントロールできないまま、トイレに間に合わないことがあります。
1日のうち、何度もこのような突然の尿意に襲われ、尿失禁だけでなく頻尿の傾向が出る方もいるようです。
切迫性尿失禁の原因
切迫性尿失禁の主な原因は神経のトラブルです。
脳や脊髄といった神経回路が何らかの病気や障害によりダメージを受けると、膀胱までの信号伝達がうまくいかなくなることがあります。
このような膀胱の症状を「過活動膀胱」と言います。
過活動膀胱になると、脳と膀胱がうまく連動せず、尿が少し溜まっただけで過剰に膀胱が反応し、排尿しようとしてしまうのです。
この場合、尿失禁だけでなく、頻尿のトラブルを招くことがあります。
また、神経回路にトラブルがない場合でも、尿意をコントロールする能力が加齢とともに低下している場合もあります。
特に女性は骨盤周りの臓器のトラブルや、泌尿器の炎症も、切迫性尿失禁の原因として考えられています。
切迫性尿失禁の改善方法
切迫性尿失禁を改善していくには、腹圧性尿失禁のところで紹介した骨盤底筋トレーニングに加えて「膀胱訓練」が有効とされています。
膀胱訓練は、尿意を感じた時にあえてすぐにトイレに行かず、少し我慢してみるというものです。
最初は30秒でも構いません。
30秒我慢ができるようになったら、次は1分、5分、10分などと時間を伸ばして、膀胱に溜められる尿を増やしていきます。
この方法なら、自宅でコツコツできそうですね。
その他、切迫性尿失禁の場合、病院での薬物治療も有効です。
抗コリン性の薬が処方されることが多く、膀胱の収縮を抑制します。
尿失禁の回数が多い、自宅でのトレーニングでは改善しないという場合は、婦人科や泌尿器科で相談してみるのもおすすめです。
尿失禁の種類③溢流性尿失禁
溢流性尿失禁の症状
溢流性尿失禁は、自分で尿を出したくても出せないけれども、残尿が尿管から少しずつ漏れてしまうというのが症状の特徴です。
溢流性尿失禁の原因
溢流性尿失禁になる原因は、排尿障害が起きていることが多いです。
女性の場合は子宮脱などで尿道が開かなくなる、子宮がんや直腸がんなど膀胱周辺の手術による膀胱の機能低下が排尿障害を招くケースがあります。
また、肥満によって内臓脂肪が膀胱や尿管を圧迫し、排尿がうまくできない場合も溢流性尿失禁の原因になることがあるようです。
溢流性尿失禁の改善方法
溢流性尿失禁の改善は、排尿障害となっている原因をつきとめるところから始まります。
手術や病気など、思い当たることがあれば医療機関に相談してみましょう。
原因疾患の治療が、尿失禁の改善への近道です。
尿失禁の種類④機能性尿失禁
機能性尿失禁の症状
機能性尿失禁の場合は、歩行困難や認知症などでトイレまで行けずに漏れてしまう症状です。
機能性尿失禁の原因
機能性尿失禁になってしまう原因は、尿意があってもトイレまでたどり着けないことです。
排尿する機能も正常であるにもかかわらず、トイレまで間に合わない、尿意に対してとっさに正しい判断ができないことで尿失禁をしてしまいます。
他の尿失禁とは違い、環境を整えることで改善が見込めるといえます。
機能性尿失禁の改善方法
機能性尿失禁の場合は、排尿機能自体は正常なので、尿意があった時にトイレまで行けるようにサポートする体制が必要です。
トイレまでの導線を確保したり、介護サポートの方法や生活環境を見直すなどして改善していきましょう。
スクリーン リーダーのサポートが有効になっています。
機能性尿失禁の場合は、排尿機能自体は正常なので、尿意があった時にトイレまで行けるようにサポートする体制が必要です。
トイレまでの導線を確保したり、介護サポートの方法や生活環境を見直すなどして改善していきましょう。
さいごに
尿失禁は、年齢的なものだから仕方ないと諦めてしまうケースもあるようです。
しかし、今回ご紹介したいずれの尿失禁の症状にも、その症状や原因に合った改善方法を取り入れてみることで、改善されることはあります。
また、尿失禁が頻繁である、排尿時に痛みがあるなど、気になる症状や不安な点がある場合には、医療機関に相談することも大切です。
自分のできるところから少しずつ行動をし、尿トラブルばかりに惑わされすぎず、楽しく毎日が送れるといいですね。